モメラスを踏まぬこと

天文学者の夫と1年限定のチューリッヒ生活

モメラスを踏まぬこと

冬休み in 東欧 | 2日目:エゲルへ日帰り電車旅。「美女の谷」の洞窟でワイン探し

ハンガリーのワイン栽培は紀元前から始まっており、ヨーロッパの中でもかなり長い歴史を持っています。トカイの貴腐ワインが有名ですね。(トカイにも行きたかったのですが日帰りだと少しきついので、今回は断念)

そんなお墨付きの地でワインを買わないわけにはいかない!ということで今回向かったのは、ハンガリー北東部の街、エゲル。トカイよりは近く、ブダペストから電車一本で行けるワインの名産地です。

ちなみにこの旅でのワイン購入上限は12本としています(笑)。ハンガリーオーストリアで6本ずつと想定しています。

 

 

8:30 出発

ブダペスト東駅(Budapest Keleti pályaudvar)からエゲルまで、直通の電車が2時間に1本ほど出ています。所要時間は2時間弱。直通ではない電車を乗り継ぐこともできますが、かなり時間がかかります。

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朝の東駅も美しい

 

電車の切符は特に予約などしていないため駅で購入します。対人の窓口が閉まっていたので、自動券売機を使いました。英語が話せる係員が正しい切符を教えてくれました。

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自動券売機

自分の電車が何番線から出るかは、駅の中央にある大きな電光掲示板に表示されます。出発時刻の少し前にならないと表示されないので、多くの人が掲示板を眺めて待っています。

エゲル行きの電車は最初こそそれなりに乗客がいたものの、2~3駅目くらいで大半の人が降りて、その後はエゲルまで車両ほぼ貸し切りでした。冬のエゲルはそんなに観光スポットではないのかも…?

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曇天…

東駅を出てからは、緑に囲まれた長閑な風景が続きます。2時間で着く予定だったのですが、途中の駅でかなり長いこと停車し(理由は不明)、エゲルに到着したのは30分遅れの11時前でした。

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謎に30分停車していた駅

11:00 美女の谷へ

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エゲル駅

地球の歩き方によると、悪天候時以外は市街地から美女の谷へ移動できるミニトレインが走っているそうなのですが、雨が降りそうで運行しているか怪しかったのと、駅から市街地までも美女の谷と反対方向になかなかの距離を歩く必要があったので、いっそ美女の谷まで歩いてみようということになりました。

道のりは普通の住宅街。歩いている観光客は一人も見かけませんでした。

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防空壕

20分くらい歩くと美女の谷への看板が。ここから先は、観光客向けのゲストハウスがいくつも並んでいます。

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Szépasszony völgy = 美女の谷

さらに歩くこと10分。ついに到着!入り口の駐車場に車が数台停まっていましたが、まだ観光客らしき人は見当たりません。

11:30 美女の谷に到着

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美女の谷全体図

美女の谷は上の写真のU字部分が文字通り谷になっていて、山肌に沿うように店舗の入り口が並びます。各店舗が山に向かって広がる洞窟のような空間を利用してワインの販売や飲食サービスの営業をしています。

ブログなどで見た事前情報によると、ワインは通常のボトルでの販売の他に、ペットボトルなどを持参すると格安で詰めてくれるとのこと。それを楽しみにして一応500mlのペットボトルを持ってきていました。

しかし、通りを歩いてみると、軒を連ねるのはお店というか本物の洞窟(笑)。狭く薄暗い洞窟の奥に目を凝らすと、おじいさんが巨大な樽の横にひっそりと座っていたりします。中に入っていくのは、灯油サイズのポリタンクを両手に抱えた業者らしき人たちだけ。たぶん乗り込めば貴重なワインを手に入れられたのですが、ここでは勇気が出ず写真も撮れず(笑)。もう少し奥へ進みます。

11:40 最初のお店【46番】

U字の入り口に差し掛かると、全体的にお店がウェルカムな雰囲気になったからか、ちらほら観光客が歩いていました。

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洞窟の入り口は個性豊か

各店舗には順に番号が振られています。いくつもあって迷ってしまいますが、初心者にも優しそうで、かつ洞窟感がありそうな内装のお店を選んでみました。

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最初のお店へ!

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Wifiも使えます

店内は適度に洞窟っぽくてお洒落なバーのような雰囲気。奥のカウンターに強面のおじさんがいます。

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カウンターから入り口の眺め

試飲をしたいと伝えるとメニューを見せてくれました。グラスは数ユーロ程度から飲めるようです。まったく手掛かりが無いので決めかねていると、おじさんが「おすすめを教えようか?」と声をかけてくれました。せっかくなので軽く好みだけ伝えてお願いすると、ちょっとした講座くらいの丁寧なレクチャーが始まりました(笑)。


最初の1杯は白を2人分。「白だけどアルコール強いから気をつけろ」と言われてラベルを見ると14%。一口飲むと確かに強いし、赤ワインを飲んでいるような濃厚さです。この一口で「買いだわ」と即決する美味しさでした。
これが続くと一瞬で酔っ払ってしまうので、次から1人分でいいと伝えると、半分の量をそれぞれのグラスに注いでくれました。

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途中から赤に以降

最初の1杯目が「買いだわ」と即決する美味しさだったのですが、次も、その次も一口飲むと「これは買いでは?」という気がしてしまうのです(笑)

普段は飲み進めると味の区別がつかなくなってくるのに、出す順番が上手いのか次々と美味しいワインが登場してとても幸せでした。

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自慢のワインが並ぶカウンター

最初の1件目でかれこれ2時間、このままでは時間もアルコール分解酵素も足りなくなると思いはじめていたところに「あとカベルネ・フランが2本な」と追い討ち。2人で1人分飲んでるはずだったのに、気づけば本来の1人分より多い量を各自のグラスに注いでくれるようになりました(笑)。
一通りを試飲した結果、候補を絞るどころか多すぎてまったく決められず。数が少なくて試飲できないけど1番おすすめだという赤は買うとして、それ以外は他を見てから検討することにしました。

と言っても行くあてが無いのでおすすめを知りたいと言うと、3つの数字を紙に書いてくれました。「ここは21時まで空いている。時間は十分にあるから楽しんでこい」と送り出され、次のお店に向かいます。購入したワインは預かっておいてくれました。

14:00 2番目のお店【38番】

先ほどのお店からぐるりと一周する形で回ることにして次のお店へ。St.Andreaというワイナリーが経営するワインショップです。洞窟だけど照明が明るくて、先ほどのお店とはまた違ったお洒落な雰囲気です。すでに男性二人組のお客さんが席についてワインを楽しんでいました。

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洞窟の中心にカウンター

おそらくハンガリーで初めて見る強面ではないお兄さんが、私たちの好みを聞いて合いそうなものをグラスで持ってきてくれました。

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赤と白を一杯ずつ

そして朝からワインしか口にしていないので何か食べたいところ。聞いてみるとがっつり食事系は無いのですが、チーズとハムの盛り合わせを作ってもらえることに。

切って載せるだけなのにやたら時間かかっているなと思っていたら、なにかのアート作品のようにきれいに(かつ大量に)盛り付けてくれていました。チーズは5種類くらいあって飽きません。杏とひまわりの種も嬉しい。

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ぜんぶ美味しい!

途中でお兄さんが「どのチーズが好き?」と話しかけてきました。私はタマネギ風味の細い形のものがいちばん気に入りました。

夫が飲んだ赤が、先のお店のものと比べてもかなり好きな部類だったので購入することにしました。これでエゲル2本目(暫定)。

15:00 3番目のお店【28番】

U字の底を折り返して3番目のお店へ。このあたりから雨が降り始めました。

中に誰も見当たらず扉も閉まっていたのでやっていないのかな…?と思っていたら、なかから若い青年が出てきて中に案内してくれました。

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通りは閑散としています

2件目を出た時点で食欲は満たされていたので、ワインを一杯ずつ。おすすめワインを丁寧に説明してもらいましたが、だいぶ酔いが回ってきていて味はあまり印象に残らず。他のお店に比べてもボトルの価格帯が安く、真剣に試飲していれば買いたいワインに出会えていたかもしれません。

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一杯300HUF(110円)から飲めます

少し外を歩いて若干凍えていたので、出る時にホットチョコレートホワイトチョコレート!)もカップでもらいました。

16:00 4番目のお店【47番】

一周して最初のお店の隣に戻ってきました。こちらは洞窟の奥行きがかなり広く、大人数での食事やパーティーにも対応しているようです。私たちが行ったときには、中国人の少しかしこまった集まりらしき8人組が食事をしていました。

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Bikavérが美味しかった

もはやあまり味を覚えていないですが、Egri Bikavérという種類は他のお店でも飲んで美味しかった気がします。

17:30 再び最初のお店へ【46番】

酔い冷ましにのんびりしていたらすっかり暗くなっていました。最初のお店に再び戻ります。散々飲んでいますが、私はどうしてもデザートワインを試したかったので、最後に一杯試飲させてもらいました。

まだ2本しか買っていないし結局ここで飲んだワインがどれも本当に美味しかったので、ここでもう1本何か選ぼうと思っていると「それが気に入ったならこれはマストだ」と選んだワインの上位互換を熱烈に進められたりして、なんだかんだでプラス4本追加してしまいました(笑)。相当扱いやすいカモだったと思います。

箱にあと一本分隙間があるけどどうする?もう一本買えば安定するぞ?」と雑すぎる売り込みを仕掛けられましたが、夫が「新聞紙でも丸めて詰めといてくれ」と返して逃れました(笑)。おじさん爆笑。

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念願、ペットボトル詰めワイン!

さらに、ダメ元でお願いしたらあっさりとペットボトルに白ワインを注いでくれました!種類は特に聞かれなかったので、タンク売り用の安めのワインがあるのだと思います。

18:00 クリスマスマーケットへ

46番のおじさんにタクシーを呼んでもらい、駅…ではなく市街地へ。雨の中酔った勢いだけでクリスマスマーケットに足を運びました。

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クリスマスマーケットの様子は後日!

19:00 帰りの電車に滑り込み

雨でワインの箱がボロボロになっていきながらなんとか駅にたどり着いたのが、ちょうどブダペスト行きの電車が出る時間でした。急いでホームに向かって乗り込もうとするもドアが開かない…困っていると地元の方らしき人たちが「それじゃない!もう一個先!」と身振り手振りで叫びながら教えてくれ、同じ線路の先にあるもう一つの電車に向けて数十メートル激走。車掌さんも待っていてくれて、私たちが乗り込むのを見届けて出発しました。これを逃したら極寒の雨の中2時間待つことになったので、感謝感謝です。

帰りは温かい車内で気持ちよく寝ていたのですが、ブダペストに着いたときには予定より1時間近く遅れていました。電車の所要時間はあまり鵜呑みにしないほうが良さそうです。

 

電車での遠出は今日で終わり。残り4日はブダペストを歩き回ります!

 

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