モメラスを踏まぬこと

天文学者の夫と1年限定のチューリッヒ生活

モメラスを踏まぬこと

バレエ旅 in パリ・ロンドン | サイドの席がおすすめ!英国ロイヤル・バレエの「オネーギン」

ロンドンバレエ旅の続きです:

momerath.hatenablog.com

バレエ旅2回目の公演鑑賞は、英国ロイヤル・バレエの「オネーギン」!憎愛満ちたドラマチックな作品です。2月のパリ・オペラ座の来日公演でも「ジゼル」とともに上演していました。

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ガラス張りのホワイエがおしゃれ!

 

 

ロイヤル・オペラ・ハウスは席選びが重要

オペラ座の怪人は当日券を安く手に入れましたが、こちらのチケットはかなり前もって(公演日の4ヶ月前くらい)購入していました。友人いわく、座席によって舞台の見え方の良し悪しがかなり左右され、安くて見通しの良い席はすぐに埋まってしまうとのこと。オンラインの一般販売が始まったその日に、友人が会社の回線を使って(笑)頑張って取ってくれました。

友人のおすすめで選んだのは、舞台下手側、Stalls Circle席の最前列。

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Stalls Circle席からの眺め

顔を斜め左に向けて観る感じになります。下手の端や奥は見えにくいですが、舞台との距離が近く、オペラグラスが無くてもダンサーの表情や指先の表現までよく見えます!若干の視界と首の疲労感を犠牲にしている分(笑)、地上階や正面の席に比べて割安です。4人グループであれば同じくらいの位置にあるボックス席もおすすめ。ちなみに座席の料金設定は、この画像のように(解像度が低く詳細は見えませんが)かなり細分化されています。最安で1000円くらいのチケットもありますが、薄ピンク以下の席は柱の近くだったり両極端のサイドだったり遠かったりで、かなり視界が遮られます。音楽となんとなくの雰囲気を気軽に楽しむならアリだと思います。

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料金設定はプログラムごとに異なるかも

公式サイトの公演一覧から日時と座席指定のチケット購入ページへ移動できます。(5月現在はオンライン上演以外はすべてキャンセルとなっています…)

www.roh.org.uk

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公演プログラムの検索ができます

グッズショップが楽しい

グッズに興味があるなら開演の1時間以上前にはオペラハウスに到着していることをおすすめします。ショップ面積はパリのオペラ・ガルニエよりは小さいですが、グッズの充実感は負けていません。雑貨も衣類も、バレエ好きの心をわかっている感じで購買意欲をそそられるものばかりです。特にTシャツやトレーナーなどの衣類は、カラーバリエーションもサイズもかなり豊富でした。レッスン用に1枚しか買わなかったことを後悔しています(笑)。

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黒×薄ピンク。形も綺麗で着心地良いです

休憩時間も楽しい

「オネーギン」は途中2回の休憩があるので、その間に建物の中を散策。

外から見えていたガラス張りの空間は軽食やディナーが取れるスペースになっていて、休憩時間は人でごった返していました。

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私たちはイギリスでは食べ物にお金をかけないと決めていたので(笑)歩き回るだけでしたが、ドレスアップしてお酒とおしゃべりを楽しむ人たちの雰囲気だけ堪能させてもらいました。2階には実際に使われていた古い衣装がロイヤル・バレエの歴史を説明するプレートとともに展示されていました。

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コヴェント・ガーデンのライトアップを見下ろせます

さらに、外のテラス沿いにはまさに現在の演目で使用される衣装の工房があり、ガラス張りになっているので中の様子を伺えます(日中は衣装担当の人が実際に作業していると思われます)。なかなか見られない舞台裏の光景にみんなで大興奮(笑)。

ロイヤルオネーギンの見どころ

「オネーギン」のざっくりとしたストーリー構成は以下のとおり。

【1幕】

田舎のお嬢様タチアナの妹オルガが、婚約者レンスキーを連れてくる

レンスキー、親友のオネーギン(イケメン)も連れてくる

タチアナ、オネーギンに一目惚れ。純朴な手紙をしたためる

【2幕】

オネーギン、思わせぶりに手紙を読むかと思いきやタチアナの目の前で破り捨てる

タチアナ、放心

オネーギン、オルガに手を出す

レンスキー激怒、オネーギンに決闘を申し込む

オネーギン、決闘でレンスキーを撃ち殺す

【3幕】

数年後、タチアナは偉い人と結婚し、高貴で美しい女性に成長している

決闘で親友を失ったショックで放浪していたオネーギン、帝都に戻り偉い人のパーティーに参加。タチアナと再会して我が目を疑う

オネーギン、タチアナを愛していたことに気づき、思いを伝えるために手紙を書く

手紙を渡されたタチアナ激昂、目の前で破り捨ててオネーギンを追い出す

オネーギン絶望、タチアナ発狂

どこからつっこんで良いかわからないほどの目まぐるしく情動的な物語です。端折って書くとオネーギンのクズっぷりが際立ちますが、3時間弱かけて生の舞台を観ても、彼は「ジゼル」のアルブレヒトに引けを取らないクズ男でした。

公式の動画でオネーギン役のダンサーたちのコメントがあります。


Thiago Soares and Valeri Hristov on why Onegin is a masterpiece (The Royal Ballet)

 

テクニックがすごい

世界三大バレエに数えられるバレエ団に対して言うまでもないことですが、ソロの踊りも群舞も全体的にテクニカルな振り付けが多く、観ていてたくさんの刺激を受けました。特にオネーギンとタチアナのパ・ド・ドゥ(ペアで踊るパートのこと)は、コンテンポラリーな要素も含んだ超絶技巧の連続で、瞬きもできずに見入ってしまいました。

そんな角度からその勢いで飛び込みます?」みたいなハラハラするリフト(男性が女性を持ち上げる)が度々出てきたりするものだから瞬きどころか息も止まっていたらしく、2幕の後はなんだか疲れていました(笑)。

キャラクターが生き生きしている

英国ロイヤル・バレエの魅力の要因は、一つにダンサーの個性と多様性が作品を鮮やかに引き立てていることだと思っています。世界三大バレエの他2つ(ロシアのマリインスキーとパリ・オペラ座)ではダンサーの体型や容姿が今でもかなりシビアに制限されていると聞きます(それが統制された完璧な群舞を実現しているのも理解できます)が、英国ロイヤルのダンサーは、比較的人種が豊富だったり、体型にもばらつきが大きいような気がします。そんな一人ひとりの芯を貫くダンサーが束になって踊る作品は登場人物に生命力があって、観ていてとても楽しいのです。

特に「オネーギン」のような、生々しい人間の憎愛を描く作品は、彼らの得意とするスタイルだと思います。この作品で主役デビューを果たした平野亮一さん演じる済まし顔のオネーギンはどこまでも憎たらしく(褒めてます)、かと思えば終盤タチアナに振られたときの悲愴感は同情を誘います。タチアナ役のマリアネラ・ヌニェスさんによる張り裂けるような感情が描かれたラストシーンには鬼気迫るものがあり、幕が降りた後はこちらもしばらく放心状態に陥っていました。

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高田茜さんの健気なオルガの演技も素晴らしかった

舞台演出が凝っている

来日公演の「ドン・キホーテ」を観たときにも感じたのですが、幕間の舞台転換やカーテンの使い方など、空間の表現に工夫が凝らされているのも観ていて楽しいポイントの一つです。今回は本家オペラハウスでの鑑賞ということもあり、3幕の華やかなパーティーの場面はきらびやかな客席と舞台が一体となり、まるで本物の舞踏会に自分が参列しているような気分になりました。

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上品なティファニーブルーの天井

”希望の橋”を見上げて

素晴らしい舞台の衝撃に殴られたような顔をしたまま(笑)帰路へ。細い通りの頭上に突如現れるねじれた建造物は、オペラハウスと隣接するロイヤル・バレエスクールを繋いでいます。舞台に立つ時を夢見る学生たちとオペラハウスの架け橋であるこの渡り廊下は、"Bridge of Aspiration(希望の橋)"と名付けられているそうです。

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オペラハウスとスクールを繋ぐ希望の橋

ここ数日で、パリ・オペラ座と英国ロイヤルというまったくキャラクターの異なるバレエ団の踊りを間近に触れられたことはとても貴重な経験でした。心を揺さぶられるような刺激を受け、この感動をどうにか自分たちの踊りに映したいと強く願いました。この日の夜はみんなでいつも以上にストレッチと筋トレを入念にしました(笑)。

 

外出規制から3週間。Stay homeを楽しもう

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スイス全土の緊急事態宣言から3週間が過ぎました。これまでの流行状況を鑑みて、当初4/19までを予定していたロックダウン期間が4/26まで延長されています。

外出に許可証が必要なフランスなどに比べてスイスの措置は緩めで、外出はしようと思えば自由にでき、高齢者のジョギングなどの運動も推奨されているようです。ただ、憩いの場になりがちな公園などは封鎖され、スーパーと薬局以外のお店はすべて閉まっているので、外に出ても本当にやることがありません。

ということで結局ほぼ家にいたこの3週間、自分が何をしていたのかを振り返ることにします。完全に自分向けです(笑)。

 

 

筋トレとストレッチ開拓

といえば聞こえはいいですが、ヨガマットの上でゴロゴロするだけで一日が終わることもあります(笑)。普段レッスン前後にやっていたメニューに加えて、家でじっくりできそうな体幹レーニング、ずっと不調が続いている股関節のストレッチなどを探しています。


【毎日8分バレリーナ芸人と一緒にやろ♡】本当に硬い股関節柔らかくするストレッチ★方法

バーレッスン

狭い部屋のなかでいろいろなものを蹴散らさないように気をつけながらバーレッスンもしています。音源は針山真実さんのディズニー公式バレエCD!

「ライオンキング」「カリブの海賊」「ノートルダムの鐘」「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」「ヘラクレス」「ジャングル・ブック」「ターザン」など男の子が主役の作品から選曲されています。普段あまり日の目を見ない地味めな曲もたくさん採用されている貴重な音源です。

自分で振りを考えるのも疲れてくるので、世界各地のバレエ団やダンサーYoutuberの方のレッスン動画も重宝します。


Ballet Barre 1 with Dutch National Ballet

Netflixを契約

ヨーロッパではまだ初月無料キャンペーンをやっているので、この機会に契約。今のところ

を観ました。ジブリ大好きと言いつつ、トトロより前の作品を観たことがなく度々非国民呼ばわりされていたので(笑)、ヨーロッパにいるうちに制覇したいです。飛べない豚はただの豚!

オンラインレッスン開始!

日本で通っていた先生が、活動自粛の流れに伴いオンラインレッスンに切り替えたため、私も参加させてもらえることになりました。画面越しとはいえ、先生とたくさんのバレエ仲間に再会できたのは嬉しいです。孤独なバーレッスンより断然楽しい!

デビューの機会を失っていたポアントもリボンを着けて、家で少しずつ慣らしていきます。

ドイツ語と統計学

更新が途絶えていますが、Eさんとのドイツ語学習はオンラインに切り替えて、頻度も倍にして続けています。相変わらずリスニングが弱いので、Netflixジブリ映画をドイツ語にして観たりもしています。

さらに、休職中に取り掛かろうと思ったまま放置していた統計学の勉強を再開しました。目標があったほうがやる気が出るので、とりあえず秋の統計検定を目指しています。

ワインとエスプレッソ

おかげさまで我が家には大量のワイン在庫があります。

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消費を上回る供給が続いて一時は在庫が30本を超えていたので(笑)、今は旅に出られない代わりに、各地での思い出を振り返りながら積極的に消費しています。

そして、ドイツ語仲間のEさんにおすすめされた直火式エスプレッソメーカーを、ロックダウンで雑貨屋さんが閉まる直前に購入!これで作るエスプレッソティー(コーヒーの代わりに紅茶の葉を入れるだけ)がお気に入りです。

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後悔しない引きこもり方

「スイスで暮らす1年間、スイスにいるからできること」をしようと、昨年夏からとにかく旅行を詰め込んできました。4月は中東に行く予定でした。

それが叶わなくなった今、毎日が退屈で仕方ないかというとそうでもなく、自分がその気になればできることがたくさんあることに気づきました。1年間遊び呆けていたら復職が辛かったと思うので(笑)、家で落ち着いて身の回りや頭の中を整頓できる良い機会だと捉えています。

 

ヨーロッパは日本のようにピークを抑えられず甚大な被害が出てしまい、未だ厳しい状況にあります。それでも、オーストリアなど周辺の国では流行が下火になって徐々にロックダウンを解消している地域もあり、私たちも希望を感じています。再びいろいろな国の素敵な街を訪れる日を楽しみにしつつ、今はStay homeを満喫します。

外出規制から1週間。パンデミックで変わったチューリッヒでの生活

ひと月前まで「なんか中国で流行ってる病気」としか思われていなかった新型コロナウィルスが、一瞬にしてヨーロッパの人たちの生活を変えました。

私の暮らすスイスでも、イタリア語圏のティチーノ州に始まり、今や全土で1万人を超える感染者が出ています。人口1千万人以下の国では最多です。空路の減便や地域ごとの入国規制は徐々に行われてきましたが、ついに先週、実質的な外出規制が敷かれました。現時点で政府が発表している行動制限は以下の通り。

  • 食料品店及び薬局を除く全ての店舗,飲食店,娯楽施設等は4月19日迄閉鎖。
  • 公共の場所(散歩道や公園を含む)で6人以上の集まりは禁止違反した場合は一人100スイスフランの罰金が科せられます。5人以下の場合は最低2メートルの対人距離を確保すること。
  • 衛生及び人と人との距離と確保すること。
  • 通勤,通院,食料品の買い物,誰かを助ける場合を除いて外出しないこと(特に持病のある方及び65歳以上の方)。特に感染の危険がある方は在宅勤務とし,不可の場合は勤務免除とすること。
  • 職場や工事現場においては衛生及び対人距離確保を守り,職場や工事現場にいる人数を減らし,休憩時間及び食堂に6人以上は集まらないこと。
  • 公私を問わず全てのイベントを禁止
  • 全国的に義務教育以上の学校,教育機関の休校を4月19日迄延

そういうわけで、スイスや周辺国のスキー場は前倒しでシーズン終了し、フランスやドイツと連絡していた国鉄も国境手前で折り返しかつ減便、 航空便も大部分が欠航。(ほとんど外に出ないので全貌はわかりませんが)街全体がひっそり静まり返っています。

書き溜めていたヨーロッパ最高!なノリの旅行記事を公開する気分にもなれず(笑)、しばらくブログを放置気味にしていましたが、敢えてあまり面白くないロックダウンの日々を綴ることにしました。

 

 

街に人がいない

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チューリッヒのショッピング街の中心

最初の頃はみんな気楽で、サイクリングやランニングをしている人をちょくちょく見かけていましたが、数日経つとそれも激減しました。一度買い物のために街の中心部にでかけた際は、バスも電車もトラムも車両ごとに一組いるかいないかでした。

普段はキセル防止のため定期的に検札をする係員が乗ってきますが、今は長距離列車も含め改札なし。運転手に近づかせないように最前列にはロープが引かれています。

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トラムもほぼ貸し切り

近くの駅前の道路は、人通りが少ないチャンスを狙って大規模工事を進めています(笑)。

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こんなときに働いてくれている人には感謝しかありません

急な帰国が決まった友人のお見送りに立ち寄った(これも本当はダメ)空港も静か。微妙な距離感を保ってお別れでした。

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人気のないSWISSカウンター

お喋り好きな人々の憩いの場だったカフェやイートインスペースも閉鎖されています。

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デパート内のイートインスペース(スーパーのフロアだけ営業中)

買い占めは深刻ではない

買い物ができるお店はスーパーと薬局だけ。屋外は本当に人がいませんが、スーパーの店内はそこそこ賑わっています。営業が許可されている店舗でも面積あたりの入店可能人数が制限されているので、入り口で番号札をもらってから入店します。混雑しているときは、前の人の買い物が終わるまで中に入れない仕組みになっています。

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入り口で番号札を受け取ります

タイミングによってはトイレットペーパーの棚が空だったり、あらゆる野菜が売り切れていたりしますが、別のスーパーに行けば普通に売っていることが多く、ニュースで見る日本のようなパニックは起きていないように思います。

ただし、薬局で取り扱うマスクや消毒用アルコール(これらはスーパーやコンビニではそもそも買えない)は、2月半ばから品薄の状況が続き、特にマスクはまず手に入らなくなりました。当初は特に市内で中国人観光客による買い占めがあったとも聞きますが、中国からの渡航が実質禁止になった後も状況は変わっていません。

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50枚25CHF。これより小さい単位では販売されていませんでした

マスクは頑なに着けない

ヨーロッパの国でマスクを着けていると、とんでもない重病人だと警戒されます。なぜここまでマスクが浸透しないのかと不思議に思っていましたが、ヨーロッパの多くの国では、公共の場で顔を隠すことを規制する覆面禁止法が定められていることを知り納得しました。チューリッヒでもマスクなどで顔を隠した状態でスーパーなどに入ることができないそうです。

基本的に医師から指示を受けない限りはマスクはしないそうですが、今は国から感染拡大防止策の一つとしてマスク着用が提言されています。これで誰もが着用することになるのかと思いましたが、そうでもありません(笑)。確かに1月末あたりから、非アジア人のマスク姿を徐々に見かけるようになったので、平常時に比べると(ヨーロッパ人にとっては)異様な光景のようです。それでも、「マスクをしていないと白い目で見られる」といった状況とは程遠く、薬局の在庫がいったいどこに消えたのか不思議に思います。一般家庭に備蓄されてお蔵入りしているくらいなら、せめて医療従事者の元に供給されていることを願います。

www.swissinfo.ch

引きこもり生活はいつまで続く

学校は休校期間を4/19から4/30まで延長。友人の親戚の子供は、学校から提供されるオンラインでのプログラミング教育を受けているそうです。大学も原則敷地内に入れないため、教員や研究員も在宅勤務です。特別な機器や実験設備が必要な分野の方は特に苦労されていると思います。

私は何もなくてもできれば家に引きこもっていたいタイプなので(笑)、変わったことといえばバレエに行けないこと、夫が常に同じ空間にいることくらいです。それでもイースターが消滅し、スイスの伝統的なお祭りも中止になり、春が近づき彩りを取り戻すチューリッヒの街を歩き回れないのは心苦しいものがあります。

少しでも早く平和な日常を迎えるために一市民にできることは、この厳しい状況の中で私たちの生活を維持している医療従事者やスーパー・薬局のスタッフたちに感謝しながら、人混みを避け、手を洗い、家でじっくりと待つことです。

 

バレエ旅 in パリ・ロンドン | ミュージカルの本場で「オペラ座の怪人」に感動!

ロンドン初日の夜は私の希望でミュージカル鑑賞。つい先日訪れたパリのガルニエ宮が舞台となったミュージカルの王道作品「オペラ座の怪人」が目当てです!

ロンドンといえば、ニューヨークのブロードウェイに並ぶミュージカルの聖地。地下鉄の駅のポスターもミュージカル作品の広告ばかりでした。

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当日券が安い!

なんでも事前予約したがる私ですが、今回はイギリス留学中にバレエとミュージカルを浴びるように観てきた友人の判断にすべて任せて、チケットは当日券売り場で購入することに。

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エスト・エンド地区はミュージカル街!

チケット売り場は各地にあります。今回はレスタースクエアにある「TKTS」に行ってみました。一見暗くて営業していないように見えましたが、裏手に回るとちゃんと窓口に人がいました。

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ここで当日券を購入

目当ての作品のチケットが売られているかどうかは、窓口の脇にある電光掲示板で確認します。「オペラ座の怪人」はStalls(1階席)とGrand Circle(3階席)の2種類が割引料金で販売されていました。

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作品と座席エリアごとに割引料金が表示されています

窓口で聞いてみると、3階席なら全員が並んで座れるとのこと。34%割引の29.5£でチケットを入手できました!

Her Majesty's Theatreへ

レスタースクエアから5分ほど歩いた通りにあるHer Majesty's Theatreが、1986年の世界初演以来の「オペラ座の怪人」専用劇場です。

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何が何だか分かりませんが外観です笑

現在の建物は19世紀から続いているようで、舞台や客席も広くはないですが歴史を感じられ、「オペラ座の怪人」にぴったりな雰囲気です。

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「女王陛下」の劇場

劇場の様子

建物に入る際にチケットをチェックされ、どこから入ればよいかを教えてくれます。その指示に従って狭い階段を登っていくと、すぐに客席に到達。奥行きがあまり無く、3階席はかなり高く感じました。ちなみに3階のお手洗い(他フロアにもあるのかは不明)は女性用で個室3つしかなく、上演前も休憩中もかなり混雑します。

客席付近ではスタッフがプログラムやアイスクリームを甲子園球場スタイルで販売しています。客席の背後にバーラウンジもあり、飲み物を持って鑑賞することも可能。日本の劇場に比べていろいろとフランクで、カジュアルに楽しめる雰囲気でした。

舞台の緞帳は降りておらず、冒頭のオークションのシーンに使われるシャンデリアがそのまま置いてありました。

上演開始!

オペラ座の怪人」で私が特に好きなシーンの一つが、このオークションの部分。老いたラウルのか細い歌声と、猿のおもちゃが奏でる悲しい音色をきっかけに、舞台中央に置かれたシャンデリアが観客を19世紀のガルニエ宮へと誘います。この舞台転換や演出は日本の劇団四季とほぼ同じです。

生オケの魅力

あらすじを知っていても、私のリスニング力ではすべての台詞を追うことはできず…それでも、キャスト一人ひとりの歌唱力が当然ながら素晴らしく、言葉を超えた感動がありました。音響が生オーケストラによる演奏なので、キャストの息遣いや表現がより生き生きとしているように感じました。

3階席は穴場かも

私たちが購入した売れ残りの割安席にはあまり期待していなかったのですが、結果的にとても良い位置でした!舞台全体が視界を遮られることなく見渡せる上に、ガルニエ宮の屋上のシーンで怪人が銅像の隙間からラウルとクリスティーヌを見下ろす場面では、怪人が目の前の高さで歌っていて表情がよく見えました。

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劇中目の前にファントムが!

専用劇場ならではの臨場感

オペラの上演シーンを描いた劇中劇の演出や、舞台上部に隠れていた怪人が四方八方を駆け回り声を上げるシーンなど、建物自体の歴史を感じる装飾に作品が溶け込んでいて、本当に19世紀のガルニエ宮での舞台上演や怪人の奇襲を目の当たりにしているような気分を味わうことができました。

屋上や地下湖などの場面も、大道具に手が込んでいてハリボテ感がなく、物語の展開に集中できます。ラスト、クリスティーヌが怪人にキスをして立ち去るシーンで(ほとんど聞き取れていないのに)涙が溢れていました(笑)。

終演後は1階の売店へ。狭い空間に一気に人が集まるので大混雑ですが、舞台の感動をみんなで共有しているような一体感がありました。

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終演後はキャスト表も出ています

 

パリで訪れた現在のガルニエ宮を思い起こしながら、19世紀のガルニエ宮を舞台とする本場のミュージカルを鑑賞する、なんとも贅沢な体験でした!

 

 

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バレエ旅 in パリ・ロンドン | 入国手続きは超簡単。Eurostarでロンドンへ!

バレエ旅、次の行き先はイギリス・ロンドン!

交通費を抑えるために、英仏海峡トンネルを走るユーロスターで移動します。早めに予約するとよりお得。

 

チケット予約は公式サイトで

チケットはオンラインで簡単に予約できます。

www.eurostar.com

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行き先と日程を入力して検索

ユーロスターのチケット代は時期によっても変動しますが、乗車日の3ヶ月前くらいからさらに値上がりしていくようです。私たちは出発4ヶ月前に予約し、一人56€でした。

座席指定もでき、eチケットなので印刷不要で使い勝手が良かったです。

紙のチケットが必要な場合や日本語で手続きしたい場合は、レイルヨーロッパなどを介して予約することもできます(手数料を差し引いても意外と安く買えることもあるみたいです)。

パリ北駅へ

ホテルから歩いてパリ北駅へ。坂道&石畳がガッタガタで、スーツケースを転がすのが大変でした。

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パリ北駅

パリでは地下鉄とバスばかり使っていたので、鉄道の駅を見るのは最初で最後。重厚で壮大でかっこいい!出発間際になって、パリはここ数日いちばんの快晴でした(笑)。

ユーロスターの乗り場は、大きな看板で案内があるのですぐに見つかります。

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エスカレーターで上がった先に乗り場があります

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大きなユニオンジャックも目印に

入国手続と手荷物検査

エスカレーターを上がるとすぐに出入国手続きのゲートがあります。

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日本国籍なら左の列へ

写真が分かりづらいですが、国旗のマークに従って列に並びます。平日&出発の1時間以上前だったからか、この通りガラガラです。

イギリスはシェンゲン圏外なので、フランスからの出入国にはパスポートの提示が必要です。有人カウンターでパスポートを見せたあと、自動改札にチケットをかざして手続き完了。その後、空港と同じような手荷物検査があります。

今回は駅に着いてからここまで10分もかかっていませんが、通勤時間やハイシーズンは混雑することも考えられるので、時間に余裕を持って駅に着いておくと安心です。

出発までの過ごし方

想定以上に時間が余ってしまったので、途中のパン屋さんで買った朝ごはんを食べながら過ごします。イギリス留学経験のある同行者の「今日でおいしい食事は終わりだと思え」という忠告に従って食べられるだけ食べておきました(笑)。小さな個人経営のパン屋さんのクロワッサンが本当に美味しかった…

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砂糖とアーモンドがまぶされています

空港と同様、出発ロビーに一度入ると外には出られません。ロビー内には待合スペースが豊富でコンビニやチェーンのカフェなども入っているので、早めに来て中で食事を済ませることもできます。

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フロアマップ

出発!

出発時刻の10分前くらいになると、出発ゲートが開いてホームへ行けるようになります。ゲートは2つありますが、車両の前半分と後ろ半分で分かれているだけです。

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出発!

座席は指定されているので確実に座れますが、客室の両端にある荷物棚は限りがあるので、スーツケースが重いときは早めに乗ったほうが良いと思います。上の段に持ち上げるのは大変なので…

盗難などはあまり考えにくいですが、荷物から目を離すのが不安な場合はチェーンロック的なものを持っていると便利です。4ヶ月前とかに予約すると席も選びたい放題なので、荷物棚の見える入り口付近を取れます(笑)。出発からトンネルに潜るまでの間は、フランス郊外の田園風景を楽しめます。

到着!

乗車時間は2時間半ほど。ロンドンに着くと1時間の時差があるので、実質1時間半で移動できることになります。車窓からの写真を取り忘れるくらいにはあっという間です(笑)。

初めてのユーロスター利用で便利さとコストパフォーマンスの良さに感動しました!バレエ旅をフランスともう一カ国どこにするかをいろいろと悩みましたが、移動がここまで手軽にできたので、時間の限られた旅行にフランス-イギリスの組み合わせはピッタリでした。

ということで、ここから4日間ロンドンを満喫します!

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はじめまして、ロンドン!