モメラスを踏まぬこと

天文学者の夫と1年限定のチューリッヒ生活

モメラスを踏まぬこと

サバティカルはじめます

サバティカル(英: Sabbatical)

使途に制限がない職務を離れた長期休暇のこと。(Wikipediaより)

 

私は仕事が好きだ。

他人の需要のために自分の頭と時間を使って、感謝される。社会に必要とされているという充足感とお金が同時に手に入る。

生きていく上でいろんな選択肢はあれど、自分が働かないという選択は取りえない。

 

その大前提が、いくつかの想定外によってあっさり揺らぐことになった。

  1. 結婚した
    いつかするにしても思ったより早かった。

  2. 結婚相手が世界中を転々としがち
    夫は天文学者。学位取得の翌月に婚姻届を出し、その3週間後に、最初の勤務先であるスイス・チューリッヒに旅立ってしまった。

  3. チューリッヒが最高
    夏休みに夫に会いに行ったら、聞いていた以上に過ごしやすい美しい街だった。人が幸せそう。涼しい。

夫はいわゆるポスドクで、任期付きの研究職を求めて数年ごとに就職活動をすることを想定している。チューリッヒでのポストは5年。私の働きたい欲を知っていたので最初は何も言わず一人で渡瑞したが、私のヨーロッパへの憧れの程度も知っていたので、実現可能性の高い適切な提案をしてくれた。

チューリッヒでの最後の1年、一緒に暮らそう」

幼稚園入園から新卒で今の会社に入るまで、浪人も留年もギャップイヤーもなく、傍から見れば順調に、敷かれたレールのような個性のない経歴を積んできた私にはかなり重い選択肢だ。が、とにかくチューリッヒが最高だし、夫と一緒に生活してみたかった(結婚前もずっと遠距離だった)ので、その方向で進めることにした。

 

私が勤めている会社には、配偶者の海外赴任に帯同するための休職制度がある。

ただ、私のケースにはこの制度がすんなりとは適用されなかった。理由は、夫が「海外赴任」ではなく、自分の意志で海外の大学を就職先として選んでいるから。

日本国内の研究者のポストが…と言い始めるとまた別の議論になるし、人事に通じる言い訳ではない。それでも完全に突き放されたわけではなく、前例のないケースとして適用可否を審査されることになった。

幸い、今の職場では人間関係にとても恵まれていて、直属の上司やチームのボスにも状況を理解してもらえた。データサイエンティストという職種が売り手市場で必死に人を集めている背景もあり、全面的に協力してくれた。

 

思い切った決断から約1年半。いろいろな幸運と周りのサポートによりチューリッヒ移住が正式に決まった。

日本に戻ってきたら元の職場に戻れることになっている。帰国後に就職活動する手間も省けたと思うと、退職せずに済んだのはとてもありがたい。

 

研究者の世界では、教授が講義などの業務を免除されて半年~1年ほど他の研究機関に滞在し自由に研究に取り組む制度をサバティカルと呼ぶらしい。

私はスイスで何をするかはまだ決めていない。というかやることがない。

これを機に、身の回りのいろいろなことをここでアウトプットしようと思う。 

 

出国は今年の7月。

サバティカルの準備、はじめます。