モメラスを踏まぬこと

天文学者の夫と1年限定のチューリッヒ生活

モメラスを踏まぬこと

チューリッヒ移住までの道のり ー 4. 日本からの転出に関わる手続き

今日が最後の出勤日でした。

これまでの記事では主にチューリッヒ側での滞在許可発行確認書取得までの流れを中心に紹介したので、今回は日本国内で必要な手続きをまとめます。

 

前提

  • 一般企業の正社員で、会社の健康保険や厚生年金に加入している。仕事は辞めず、約1年の休職扱い。
    (自営業の方など国民健康保険国民年金に加入している場合は別の手続きが必要)
  • 夫はすでにチューリッヒに住んでおり、現地の大学に雇われている(日本企業からの赴任・出向ではない) 

 

目次 

 

休職申請@勤務先

会社の制度を利用して、チューリッヒ滞在期間分の休職を取得。
休職希望開始時期のxxヶ月前、など社則で定められている期間内に申請する。私のケースのように「配偶者の海外赴任への帯同に伴う休職」であるとすんなり認められないこともあるので、なるべく早めに人事などに相談しておく。

 

転出手続き@区役所 

海外転出届

国内での引越し時と同様に、今住んでいる自治体から転出する手続きを行う。転出届の提出自体は郵送でもできるようだが、国内への転居では必要ない幾つかの手続き(後述)について案内されたので、役所に直接足を運んだ方が結果的に楽だと思う。
住民課の窓口で書類に必要事項を記入した後、マイナンバーカードと一緒に提出。私のケースように再び日本に帰ってくることが確定していても、一度海外に転居する場合はマイナンバーカードを返納しなければならない。国が管理する個人IDのアーキテクチャとしてどうなのかと思うところはあるが、日本に戻ってきたときにまたマイナンバーが欲しければ、改めて申請する必要がある。

 

在外選挙人名簿への登録(国外からの投票を可能にする手続き)

自治体の長や議員を選ぶ権利は、当然その自治体に住んでいる人だけに与えられるが、衆院選参院選などの国政選挙は、日本国内に現住所がなくても、日本国籍を持っていて、かつ渡航先で3ヶ月以上居住することが確定していれば、この在外選挙人登録を行うことで、投票に参加することができる。(ただし、例えば憲法改正発議が可決されて「国民投票」をすることになった場合、現時点では海外からの投票システムはまだ整っていないのかもしれない)
海外転出の手続きの最後に、必要ならどうぞと案内された。これまでは各国の大使館に自ら出向いて登録手続きをする必要があった(夫はそのためにベルンに行った)が、最近システムが整理されて、渡航前に転出前の自治体で申請することで、あとは自治体と渡航先の大使館でうまいことやってくれるようになったらしい。私がお世話になった板橋区役所は、一般の市民が普段足を踏み入れるフロアは落ち着いた雰囲気の内装で居心地の良い雰囲気だが、選挙人登録のために案内された部屋は、基本的に職員の出入りしか想定されていないオフィスエリアだった。(参院選シーズンで余計に殺伐としていたのかも)「こんなところですみません」と職員の方々が仕事をされている脇の机を用意され、選挙人登録の流れを丁寧にしていただいて、渡航先住所やパスポートNoなどの個人情報を記入した。

実際に名簿に登録してもらえるのは、出国後に現地の大使館に在留届を提出した後だ。この在留届も外務省のサイトからオンラインで提出できるので、現地に着いたら忘れないうちに手続きを済ませたい。

 

www.ezairyu.mofa.go.jp

 

税金周り

一般の正社員は「特別徴収」という形で給料からの天引きで税金が支払われているが、休職・国外転出により「普通徴収」に切り替わり、自分で納税することになる。住民税はその年の1月に日本に住んでいれば1年分払う必要がある。その額は4-6月の給与に基づき算定される。所得税は、年末調整や確定申告を(自分で)すれば、ある程度返ってくるはず。

市役所のまた別の窓口で呼ばれ、支払わなければいけない金額と納付方法について案内を受ける。出国前に全額納付という方法もあるが、その年の納付金額の確定前に出国する場合は、おそらくその選択肢は取れない。本人の代わりに納税通知書を受け取る(日本に住所がある)納税管理人を定め、納付を委任する形になる。窓口で納税管理人申告書に必要事項(私の場合は父の住所など)を記入して、ここでの手続きは完了。父には後に現ナマで納付金額を渡しておいた。

 

toge510.com


インフラ関係

やらなければいけないことは国内での引越しと基本的に同じだが、出国後は日本からの郵便物を受け取ることが困難になるので、日本にいる間に確実に手続きが完了できるように準備しておく必要がある。 

各種住所変更

銀行のアカウントやクレジッットカード、保険、DMなどあらゆる登録住所を変更する。日本国内の住所しか想定されていないことが多いが、楽天カードは海外の住所も登録できる(住所が日本のままで外国で楽天カードを使うと怪しまれて止められたり電話がかかってきたりするので、変更しておいた方がいい)。

 

e転居

旧住所に届く郵便物を、登録した新住所(国内のみ)に転送してくれるサービス。1年間限定。

私は実家の住所を登録し、何か届くたびに報告してもらうよう両親にお願いしている。住所変更をし忘れているものがあったらこれで気づける。

あたらしい町にも、しっかり届く安心。e転居 - 郵便局

 

電気

東電の「でんき家計簿」などを利用しており、web検針票が見られる環境であれば、webサイトからの解約手続きが可能。数日後から1ヶ月くらいの期間内の停止しか受け付けられない。明日にでも解約したい、数ヶ月先に解約したいという場合は電話での受付になる(実際できるのかは不明)。
お引越しが決まったら|お引越しの手続き|東京電力エナジーパートナー株式会社

 

水道

webサイトからの解約手続きが可能だが、領収書などに書いてあるお客様番号が必要。
インターネットでのお申込み|東京都水道局

 

ガス

webサイトからの解約が可能。お客様番号も検索できるので紙の領収証などがなくても手続きできるし、全体的にサイトのUIがとても使いやすい。
ただし、海外転居であっても日本の連絡先を入力しないと手続きが進まないのが悩ましい。単にフォームの仕様上の問題なので、何を入力しても大丈夫だと思う(が、実家などがあれば一応自分にゆかりのある住所を入力しましょう)。
東京ガス : 引越しのお手続き / ガス使用停止のお申し込み


免許更新

自動車免許の更新の際、通常は誕生日の1ヶ月前くらいに免許センターから葉書が届くが、期間に日本にいないことがわかっている場合、葉書を待たずに前倒しでの更新手続きをすることも可能。ただし、その次以降の更新タイミングは、誕生日ではなく前倒して手続きをした日が基準となる。
※さらに注意が必要なのは、免許取得から2回目の更新(初めてゴールドになるタイミング)を前倒す場合、免許センターでしか手続きができないということ。本来は2回目の更新であれば警察署でもできるのだが、「免許取得から5年が経過する時点」までは、初回者講習を受けなければならないシステムになっているらしい。
また、前倒しで更新をせず、帰国後に免許の復活手続きをするという選択肢もある。

 

 


仕事に追われて結局ドイツ語は一文字も勉強していない(仕事のせいにするな)し、出国の1週間前までバレエの本番があって部屋は全然片付いていないしで、不安が8割くらい占めている状態ですが、職場の方々の協力と夫や家族のおかげでとりあえず出国はできそうです。