モメラスを踏まぬこと

天文学者の夫と1年限定のチューリッヒ生活

モメラスを踏まぬこと

週末旅行、Basel編 | 漉いて、書いて、刷って楽しむ!バーゼル製紙印刷博物館

ラーメンを食べ終わったのが14時すぎ。もう一つ美術館か博物館に行きたいところです。

音楽博物館とか(昔の楽器がたくさん)

www.hmb.ch

歴史博物館とか(教会を展示スペースとして活用しています)

www.hmb.ch

楽しそうなところがたくさんあって迷います。

そんな中、今回私たちが選んだのは、製紙印刷博物館

夫婦して文房具が好きなのと、体験型でドイツ語がわからなくても楽しめそうなので期待大です。

 

 

博物館までの道のり

製紙印刷博物館は、中心街から少し離れたライン川沿いに位置しています。namamen(Basel AG)から徒歩10分ほど。

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バーゼル美術館を通り過ぎます

途中の小さな通りはカラフルな窓の建物が並んてでいてとてもかわいいです。

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St. Alban Vorstadt

普通の家に見える小さな建物も博物館だったりします。

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風刺画・漫画博物館

ライン川に沿って坂を下ると、博物館の入り口(の案内)が見えます。

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すぐ左側にはライン川が流れています

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この先が売店&入り口

案内に沿って右手の端を渡ると、大きな水車が現れます。紙作りの動力源です。

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入り口脇の水車

チケット(15CHF)は売店で購入します。シールを衣服の目立つところに貼り、いよいよ向かいの博物館へ!

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博物館のロゴ

館内へ

外から観るとアパートくらいの小ぶりな建物ですが、地上4階(+ちょっと地下)の館内に展示がたっぷり詰まっています。各階が紙・文字・印刷・本というテーマに分けられています。

00.Papier | 紙

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外にあった水車と連動しています

中に入ると目に入るのが、水力で動く大きな紙漉き機!日中は実際にここで紙作りの作業が行われており、来訪者が体験できるコーナーもあります。

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できたての紙がたくさん干されています

さらに、古代エジプトパピルスから日本の和紙まで、世界の製紙技術の歴史と変遷を、当時の紙を使った史料を見ながら知ることができる展示が充実しています。

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針金を使った型でエンボス加工が施されます

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古い手書きの楽譜

お手洗いの前にはトイレットペーパーの歴史と各国の違いについて。

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「ドイツ人は折りたたむ。アメリカ人はくしゃくしゃにする」って書いてあります笑

01.Schrift | 文字

シュメール人によって発明された世界最古の文字と言われる楔形文字にはじまり、世界各国での文字の誕生と受け継がれた歴史を学べます。世界史(特に古代)好きにはたまりません。

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楔形文字ヒエログリフ

中国の漢字が韓国・日本に渡った後、独自の文化が発展してハングルやかな文字が生まれたことなど、アジアでの文字の歴史も紹介されていました。

体験コーナーの部屋には、古代ギリシャなどで紙の代わりに使われていた陶器の欠片、オストラコン風の瓦礫が置いてありました。

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自由に書けるオストラコン

オストラコンは日常で使う筆記媒体として一般市民に普及していましたが、国家反逆を企んでいそうな人の名前を書いて匿名で投票する(たくさん得票してしまった人は追放される)いわゆる投票用紙の役割も担っており、「オストラシズム」という古代ギリシャにおける一つの直接民主制の形を象徴するものでもあります。

 

さらに、ここには机とペンとインク、さらに様々なフォントのサンプルが置いてあり、黙々とメッセージを書いている人がいます。

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ペンもいろいろ

私たちも挑戦。ペンも竹製のものや羽ペン、細字用からカリグラフィー用の太いものまでいろいろ選べます。

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サンプルを見ながら

書き終えたらそれを奥の机に座っているおばあさんのところへ持っていきます。封筒とスタンプ、シーリングワックスの色や柄を自分で選んで封をしてもらえます。

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最近覚えたドイツ語のメリークリスマス

それだけ?と思われるかもしれませんが、これがめちゃくちゃ人気でおばあさん大忙し。カラフルな封筒と種類豊富なスタンプの顔ぶれを見ているといくつでも欲しくなってしまいます。

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スタンプは種類豊富。私はバーゼルの州旗のマークにしました
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熱したワックスを封筒に垂らした上からスタンプを押します

できあがったのがこちら!絶対使わないのに、ランプとスタンプとシーリングワックスの一式が欲しくなってしまいます。

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夫のは博物館のロゴのスタンプです

ぜんぜん関係無いのですが、部屋の窓が素敵でした。

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ワイングラスの底でできた窓

さらに、活版印刷の紙を使ったバッグ作りをしました。

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久しぶりの工作

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ペラペラなので軽いものしか入りません笑

他にも見て・触って楽しめる展示がたくさん。このフロアが見終わらないうちに閉館時間が迫ってしまいました。

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世界最初のトランプは、14世紀のベルン発祥らしいです
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触って遊べるタイプライター

 

02.Druck | 印刷

閉館間際だったため体験系はできませんでしたが、ほぼ貸し切り状態で展示を観ることができました。部屋の奥には大きな活版印刷機!

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かっこいい

印刷に使う新聞などの型がたくさん展示されており、細やかな銀色の美術品を見ているようで見入ってしまいます。

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新聞の型

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さっきのバッグの紙もこうやって生まれます

こちらは楽譜を作るための型。

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ぜんぶ楽譜の部品

音符や奏法記号を一つ一つ組み合わせて音楽が記述されます。

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アクセントや強弱記号

活版印刷で刷られた本は手にとって見ることができます。

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滲みのないつやつやの紙面。改めて見ると感心します

さらに奥には、天然素材から作られる顔料の展示。鉱物の名前が英語でもよくわからず帰って調べました(笑)

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展示のされ方がおしゃれ

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孔雀石、ラピスラズリ、藍銅鉱

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緑青、鉛錫、銀朱

最後に見かけたのはこちら。石版からデジタルへ、記憶媒体としての印刷技術の進化。

「進化に伴いデータ容量は指数関数的に増大しているが、一方でその持続可能性は低下している」という指摘が面白いです。

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楔形文字の石版、ファイストスの円盤、CD、プリント基板

 

03.Buch | 本(時間切れ)

閉館時間過ぎていたため行けませんでした…残念。

 

 

この小さい建物でまさか回りきれないと思っていませんでしたが、時間を忘れて没頭してしまうほど興味深い展示が盛りだくさんということです。子供も大人も楽しめる体験型ミュージアムでした!

外にでるとすっかり夜。さっきの通りはツリーがライトアップされてますます素敵な雰囲気になっていました。ツリーは半径分の幅しか取っていなくて、歩道に置くには合理的な方法だと思いました(笑)

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半身ツリーが並ぶ

いよいよクリスマスマーケットへ。グリューワインが待ち遠しい!